【人材業界の本音】紹介される求人は“本当に良い求人”なのか?

- 転職エージェントの構造
- 求人の定義
- 転職活動で大切なこと

転職エージェントって、実際どうなのか。人材業界5年目の私がお伝えいたしますね。
「この求人、あなたにピッタリです!」…それ、本当?
転職エージェントと話していて、こんな言葉を聞いたことはありませんか?
「この求人、絶対にあなたに合ってますよ!」
「今すごく人気で、早めに応募した方がいいです!」
でも心のどこかで、こう思ったことはありませんか?
「本当に自分に合ってるのかな?」
「売りたい求人を押し付けられてるだけなんじゃ…?」
人材業界で働く今の私が、正直にお伝えします。
その疑念、半分は正解です。
この記事では、10年間で4回の転職を経て人材業界に転職した私が、「求人紹介のリアル」と「転職活動で本当に大切なこと」を、実体験と業界の裏側からお話しします。
私は“転職迷子”だった
今でこそキャリアコンサルタントとして働いていますが、かつての私は完全な“キャリア迷子”でした。
23歳:やりたいことがわからず、とりあえず就職
カナダ留学から帰国後、ハローワーク経由で食品商社に就職。
目標もキャリアプランもなく、「正社員にならなきゃ」という焦りだけで働いていました。
24~26歳:転職を繰り返し、自信を失っていく
英語講師の副業をしながら、JTC→車ディーラー→フォトスタジオと職を転々。
どこかで「このままでいいのか?」とモヤモヤしながらも、正解がわからず、周囲に合わせて生きていました。
30歳:独立失敗、人材業界へ
写真で独立を目指すも、失敗。コロナで収入ゼロ。再び就職活動を始め、人材紹介会社に出会い、業界未経験で転職。
そこから今に至ります。
求人は「商品」である ― エージェントの構造的な事情
人材紹介会社のビジネスモデルは、企業から紹介手数料をもらうことです。
- 転職が決まると、年収の約30~35%が報酬になる
- 年収500万円の人が内定すると、150万円程度の売上が発生
つまり、求職者ではなく**求人企業が“お客様”**なのです。
キャリアアドバイザーにとっては、次のような求人が“おすすめ”になりやすい。
- 採用ニーズが高く、内定が出やすい求人
- 企業からの紹介料が高い求人
紹介=善意、ではなく、「売れる求人を提案している」ケースも多いのが実態です。

ちなみに企業から、「今、人手不足だから、期間限定で紹介料40%にするから紹介欲しい」って依頼を受けることもあるよ。
転職エージェントの担当によって考え方は違うけど、今熱い求人を紹介してきたり、あなたの職歴を見て、受かりやすい求人を紹介してくる場合もあります。
“良い求人”の定義は、人それぞれ違う
例えば、こんな3つの求人があったとします。
求人 | 内容 |
---|---|
A | 年収700万円、残業60時間、外資系 |
B | 年収450万円、研修手厚い、転勤なし |
C | 年収600万円、大手、全国転勤あり |
どれが「良い求人」でしょうか?
正解はありません。
価値観、家族構成、キャリア志向…人によって「良さ」は異なります。
でもエージェントは「成果=入社」であるため、通りやすく、成約しやすい求人を“おすすめ”として提案しがちです。

会社によっては、売上ノルマが厳しくて、急いで紹介して成約させようとするところもあるから注意してね。
実は存在する「紹介されない優良求人」
私が業界で働いて驚いたのは、紹介されない“優良求人”が山ほどあること。
中小企業の求人(紹介料が低く、後回しにされがち)
でも、裁量が大きくスピード昇進できるケースも多い。
また、企業によって、エージェントに紹介料を払う採用予算がない場合などもあります。
直接応募・リファラル(知人紹介)で埋まる求人
人気企業ほど紹介会社を使わず、人脈やSNSで採用している。
社内公募で社員を移動させて埋めることもあります。
難易度の高い求人(通過率が低く、非効率と判断される
本気で挑戦したい人にとってはチャンスなのに、紹介されないまま終わる。
求人票の“裏側”を読む力をつけよう
求人票は、真実をすべて語ってくれません。
人材業界に入って気づいたのは、“言葉の奥にある事情”を読み解く重要性でした。
表現 | 裏にある可能性 |
---|---|
「毎月募集」 | 離職率が高い? |
「幅広い業務を経験」 | 何でも屋ポジション? |
「やりがい重視」 | 給与・待遇は妥協? |
求人票を読むときは、「なぜこの表現なのか?」という視点で冷静に読み取ってください。
それでも私は、人材業界に希望を持っています
ここまで“業界の裏側”をお伝えしてきましたが、私はこの仕事に誇りを持っています。
なぜなら、「人と仕事の出会い」には、人生を変える力があるから。
過去の自分のように、キャリアに悩んでいる人と向き合い、納得のいく選択を一緒に見つけられたとき、その瞬間に立ち会えることが、この仕事の何よりのやりがいです。

転職エージェントもピンキリなので、良いところもたくさんあります。
転職活動で本当に大切なこと
自分の価値観を明確にする
どんな働き方をしたいのか?
年収?
やりがい?
環境?
将来性?
自分軸がないと、求人に振り回されます。
エージェントの言葉を鵜呑みにしない
「なぜこの求人なのか?」を聞いてください。
納得できなければ、応募しなくてもいい。
自分でも情報を集める
求人サイト、企業HP、SNS、口コミ…自分で調べる習慣を。
面接でも「選ぶ視点」を持つ
企業があなたを選ぶのと同じように、あなたにも“選ぶ権利”があります。
そして結論:だからこそ、エージェントは「使い方」が大事
ここまで読んで、
「やっぱりエージェントって信用できないのでは?」
と思った方もいるかもしれません。
でも、実はだからこそ“使うべき”存在だと私は思っています。
なぜなら…
- 求人の選定・推薦、書類添削、面接対策まで無料でフルサポート
- 一般には出回らない非公開求人の情報が得られる
- 担当者によっては、あなたの“気づいていない強み”を引き出してくれる
重要なのは、「主導権を渡さず、主体的に活用すること」。
エージェントの言う通りに進めるのではなく、あくまで「意思決定の材料」として活用することがポイントです。
最後に:あなたのキャリアに、正解はひとつじゃない
転職エージェントの「おすすめ求人」は、あなたの人生の最適解とは限りません。
でも、エージェントを上手に使いこなせば、情報と選択肢は何倍にも広がります。
迷いながらでも、試行錯誤しながらでもいい。
あなたの意志で選び取った道なら、それが正解です。
働き方が変われば、人生は変わる。
その一歩を、自分の手で、丁寧に選びましょう。